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進学通信No.69-三田学園中学校・高等学校
19
3月
  • 進学通信No.69-三田学園中学校・高等学校
  • 2018 . No.69 . PICK UP TOPIC . 三田学園 . 進学通信 .

同校ではここ数年、これからの時代を見すえて実践してきたアクティブラーニングのさらなる進化に力を注いでいます。今年6月からは、各教科担当の教員で構成される『AL(アクティブラーニング)推進チーム』主導のもと、アクティブラーニングを取り入れた授業を教員同士が見学し合う『授業見学会』と、授業見学会を通して得られた気づき、課題などを共有する『授業検討会』を始動させました。その経緯やねらいについて、教育研究部部長の平内秀樹先生は次のように話します。「授業について生徒へのアンケートを実施し、その回答と1学期の期末考査の成績を照合することで“授業に取り組む姿勢”と“学力”の相関性を調査しました。その結果からわかったことは、“成績がよい=主体的に勉強に取り組んでいる”ということです。そこで『授業見学会』では“いかに生徒が主体的に取り組める授業を展開するか”に主眼を置きながら、モデル授業として設定している中1数学、高1古典を継続的に見ていきます。『授業検討会』での意見交換を通じて検証を重ね、有効なアクティブラーニングとは何か、思考力・判断力・表現力が培われる過程を今まで以上に明確にすることを目指しています」

●高1英語の授業では、多彩なペアワークを実施。電子黒板に表示された英単語が何かを、相手の英語による説明から推測して当てるゲームなどがあり、楽しんで取り組める。『授業検討会』では、「説明力アップにつながるすぐれたゲーム」「他の人がどんな説明をしたのかを聞くことができれば、さらなるスキルアップにつながるのでは」といった意見が寄せられた。
 5回目となる今年9月の『授業見学会』では、2つのモデル授業と、『AL 推進チーム』に所属する教員の高1英語、高3数学などの授業が公開されました。印象的だったのは、生徒たちが単に真剣なだけではない、生き生きとした表情で授業に臨んでいたことです。

中1数学は、教員が「どっちだと思う?」「どうすればいいと思う?」と常に問いかけるスタイルが特徴です。生徒の目線は教員と電子黒板に向けられ、一人ひとりと教員の距離が近く感じられます。グー・チョキ・パーの挙手により理解度を把握し、その理解度に応じた説明が行われていました。

高1古典では、冒頭の小テストでタブレットを活用することで、問題配布から解答、自己採点、解説まで、一連の流れがスムーズに進められます。また授業中は、ペアワークを実施。隣同士で交換してプリントの採点を行ったり、わからないところを教え合ったり、教材となる文章の読み合わせを行ったり……。その和気あいあいとした雰囲気のなかで教員が一人ひとりの質問に応じ、多くの生徒がわかりにくく感じている箇所が判明すれば全員に向けて再度説明するなど、メリハリのある授業が展開されていました。

●高1古典の授業冒頭で実施された復習のための小テスト。問題の配布も答案の提出もiPadを用いて行っており、教員はその場で問題の正答率を知ることができる。授業では極力、教員の活動を少なくし、生徒の積極性を引き出す授業に注力している。

「現在は中3・高1と高2の一部クラスで試験的に導入していますが、来年度からは高3を除く全生徒に1人1台のiPad を貸与し、授業・家庭学習の支援や、家庭への連絡を行うためのツールとして活用していきます。現在、いかに情報リテラシー教育を徹底しながら最大限に活用するのかという点を重視し、学年に応じた方法を練っているところです」(平内先生)

 そして驚いたのは、高3数学の活気に満ちた雰囲気です。全員がその日の授業で取り扱う範囲の問題を予習しており、授業では、その場で教員が決めた“解説担当者”がグループ内で解説を行っていました。

「以前はあらかじめ問題の担当者を決めていましたが、その場合、担当外の生徒が予習をしなかったり、担当の問題以外は解いてこなかったりする恐れがありました。グループワークを取り入れてからは全員が予習をし、話し合いにも参加しています。仲間にわかりやすく伝えるために自分の解答を見直すことで、どのように考えてその解き方をしたのか、ポイントとなる部分の理解を深めることにつながっていると思います」(数学科・丸山周良先生)


●高3数学で行われたグループワーク。「ICTを活用することで、教員からの解説に使う時間をこれまでの30分から10分に短縮。授業で取り組む問題数は大きく変えずにアクティブラーニングを実践しています」(丸山先生)
「互いに教え合う雰囲気ができれば、休み時間や放課後の自習の仕方も変わるかもしれません。そして何より、大学入試に向けた学力を担保しながら、アクティブラーニングを実践するノウハウを確立しつつあることは、大きいと感じています」(平内先生)
授業終了前の10分間には、大学入試に関わるエッセンスが凝縮された解説に集中して聴き入る生徒たちの姿が見られた。


●英語の授業の後半では、国際的な課題に関する英文を題材に、キーワードは何かを考えるといったペアワークを展開。音読の練習ではiPadを駆使。教員から配布されたネイティブの音声をイヤホンで聞きながら、各自が集中して取り組んでいた。


●高3現代社会の授業では冒頭で、「ニュース時事能力検定3級・4級の記述問題を自分で書けるように」との目標を提示。解説では基本知識や全体像、その背景など多くの内容を話すことになるが、電子黒板を用いることで視覚的かつスピーディーに行える。

 放課後の『授業検討会』では、それぞれの授業の良かった点、改善すべき点などについて意見が飛び交いました。「生徒同士で教え合うことで、『そういうことか!』という気づきが得られて個々の成長につながる」「その日の到達目標を提示したうえでグループワークを行うと、生徒の『先生の解説を聞きたい』という気持ちが高まる」など、その手応えを語る先生方の表情からは、よりよい授業づくりに向けた熱気が伝わってきました。

 建学の精神『質実剛健・親愛包容』に基づき、教育理念に掲げた知・徳・体のバランスのとれた全人教育を実践する同校は、まさに人工知能にはない“人間力”を育む場。その伝統のうえに、思考力・判断力・表現力を培う質の高いアクティブラーニングを確立させることで、より次代に即した教育の実現を目指しているのです。

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