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進学通信No.68-関西大学中等部・高等部
23
3月
  • 進学通信No.68-関西大学中等部・高等部
  • 2018 . №68 . 校長インタビュー . 進学通信 . 関西大学中等部 .
生徒との1対1の信頼関係のもと
人生を見すえた指導を実践したい
PROFILE

1958年、島根県生まれ。大学卒業後、英語科教員として、赴任先である兵庫や島根の公立中学校で「生徒が英語を好きになれる授業」を研究・実践。2001年、財団法人語学教育研究所が外国語教育の改善・発展のために顕著な成果を収めた個人や学校等に贈る「パーマー賞」を受賞。関西大学外国語学部教授等を経て、2017年より現職。

「何かを好きになること」「何かに夢中になること」が豊かな人生の第一歩

私が英語に興味を持つきっかけとなったのは、中1の頃から夢中になった洋楽です。ミュージシャンと同じように歌いたい一心から、真似て歌うこと、英語教室でアメリカ人の先生に教わることで発音を身につけました。中高では野球部、大学では軽音楽部に所属し、卒業後は音楽の道に進みたいと思っていました。教員になったのは、両親に説得されたからです(笑)。

最初の赴任先では、いわゆる一方的に教える授業をしても生徒に聞いてはもらえず、「いかに授業を成立させるか」を考えるところからスタートしました。顧問をしていた野球部の生徒が帰宅後も自主練習をしていることから見出したのが、「好きにならせればいい」という方向性です。その場限りの楽しさではなく、自ら学びたくなる授業を目指して、絵や音楽、かるたを用いたり、さまざまな工夫を凝らしました。

こうした私自身の中高時代や経験から強く思うのは、のめり込んだことは絶対に無駄にはならないということ、そして、夢中になることは、何においてもレベルアップするための第一歩だということです。さらに言えば、好きなことが多いほど将来の選択肢は広がりますし、選んだ仕事に夢中になれた人こそが社会で成功を収めることができますし、就いた仕事が合わないとわかったときに転職できるか否かは、どれだけ夢中になったものがあるかにかかっていると言えるでしょう。ですから生徒には常に「好きなこと、興味があるものをたくさん見つけなさい」と言っています。飽きたら別の何かを見つければいい。何かに夢中になる日々のなかで、自ずと、進みたい道が見えてくるはずです。

そのために教員がまずすべきことは、生徒に担当教科を好きになってもらうことです。面白くて好きになってしまう授業、わからなかったことがわかるようになり、できなかったことができるようになるような授業を展開することを、一番大切にしてほしいと思っています。

一人ひとりの生徒と向き合い、将来を見すえて指導することが肝要

学習指導と生徒指導を分けて考える学校も少なくありませんが、私自身は、「授業は先手の生徒指導である」という持論に基づいて授業をつくり、生徒と接してきました。たとえば私にとって授業でのグループ活動は、一人ひとりの特性を見出す機会の一つ。たとえば「この生徒はいろいろなことをひらめくから企画に向いているな」と思った生徒には、本人に伝え、ほめて、伸ばすように導くことを心がけていました。

そんなふうに一人ひとりを見守り伸ばすためには、いかに生徒と1対1の時間をつくるかということが肝要です。私自身は、全員に対してノート指導を行いました。一人ひとりの頑張りがわかっていますから、模擬試験の結果が悪かった場合にも、「勉強したか?」なんて聞くことはありません。模擬試験は受験という大切な試合のめにある、いわば練習試合です。結果を分析したうえで「ここを頑張ってみようか」「次回までにこうしてみたら」といった提案をしました。フィードバックがポジティブであれば、生徒も次の試合に向けて頑張ろうという気持ちになれるのです。

大切なのは、教育的愛情を持ち、「一人ひとりが将来幸せになるためにはどうすればいいか」というコンセプトのもと厳しくも温かく接するということ。そうすれば生徒は、単なる教科担当ではなく、将来を一緒に考えてくれる存在として教員を見るようになり、興味があることなどについても自分から話してくれるようになります。そうした関係性を築くことができれば、問題行動があった時の事後処理もスムーズです。「何があったんや」という問いかけに対して、冷静に正直に話してくれます。そして何より、できなかったことができるようになったとき、一緒に喜び合えます。「よかったな!」「先生ありがとう!」というやりとりも、生徒指導の一環。「とりあえず」で教員になった私ですが、生徒と信頼関係を築く面白さ、生徒の成功体験の瞬間を目の当たりにできる喜びを知れたからこそ、今、ここにいるのだと感じています。

よりよい学校へと進化し続けるために

本校に赴任して約半年が経過した今、自信を持って言えることが二つあります。一つは、よい教員がたくさんいるということ。授業力が高く指導にも熱心で、職員室前の面談スペースでは毎日のように1対1で相談や質問にていねいに応じる姿が見られます。また私は毎朝、最寄り駅から学校まで生徒と話しながら歩くことを日課としていますが、そのことを担任に報告したとき、担任がその生徒について語る表情からも、生徒に対する愛情が伝わってきます。

もう一つは、すばらしい生徒たちがいること。校長室前に設置している目安箱には、授業や制服のことなど実にさまざまな意見が寄せられますし、「文芸部をつくってほしい」と企画書を提出してきた生徒もいて、関西大学が目指す力“考動力”が育まれていることがよくわかります。

難関国立大学を目指すクラスが1クラスしかないにも関わらず、2017 年の大学入試で京大・阪大・神大の合格者数が14名という実績は、こうした教員の指導と生徒の努力の賜物でしょう。まだまだ飛躍できる学校であるという自負がありますし、実際にさらなるプログラムの充実に向けて動いています。生徒との信頼関係を築いている教員が、よりよい学校づくりにチャレンジし、成し遂げてくれることが私の願い。そのための環境を整え、全力でサポートすることが、私の使命だと考えています。

受験生へのメッセージ
本校には、一人ひとりの個性を大切にし、伸ばしてくれる教員がそろっています。そんな安心感をもって過ごせる環境のもとで、好きなこと、やりたいことをたくさん見つけてください。それらに意欲的にチャレンジし続けることを通して、自分や社会、世界の未来を切り拓く“考動力”を身につけてくれることを願っています。
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