たとえば、海外の中学生を招いての交流。中・韓・台・ベトナム・シンガポール・オーストラリアなど、アジア圏を中心とした各国の中学生らと、それぞれの文化や学校紹介プレゼンなどを行います。もちろんそのコミュニケーションは英語です。こうした取り組みは、多いときで年6~7回にも達するほどで、中学校でここまで多いのはめずらしいのではないでしょうか。
「特に中1は英語学習が始まったばかり。その英語力はまだつたないものです。それでも、まずは海外の生徒たちとの時間をたくさん共有させたい。それが壁を取り去るスタートだと思います。自分たちが子どものころは、こんな機会はありませんでした。だからこそ、今の生徒たちには少しでも多く、世界に触れる接点を作ってあげたいと思います。実際に生徒たちは目に見えて交流に“慣れ” てきて、外国人や英語に臆さなくなってきています。待ちきれないのか『次はいつ(海外からの生徒が) 来るんですか?』という声も多数挙がります」と、確かな手応えを感じている中野泰志教頭。大事にしているのは、小規模校ならではの手厚さを生かして“全員にその機会を与えること”。一部の生徒を対象にするのではなく、全校あげての取り組みなのです。
英語教育・国際教育と同時に力を入れているのが『ICT教育』。全教室にプロジェクターとホワイトボードを設置して授業の効率を上げ、その余剰時間をより深い知識の習得や探究型の授業に生かしている。
新校舎完成にともない導入された、最先端の『I C T Room』。Wi-Fi環境、タブレット、可動式の机、2基のプロジェクターを備え、協働学習にも最適。教室上部を吹き抜けにしているので、外から授業を見学することも可能だ。
海外から訪れた中学生と交流。同校は関西国際空港が近いこともあり、交流受け入れの依頼が入ることも多いという。最初は緊張していた生徒たちも、機会を多く設けることで英語や海外に対する“壁”が消え、これを機に視野が広がり、高校から海外留学へ旅立った生徒もいるほど。
日本人は英語を「ちゃんと話さないといけない」「間違ってはいけない」という意識が働きがちです。しかしこの交流を通じて、片言でも意思疎通ができる楽しさを知るといいます。逆に、韓国など英語教育がさかんな国の生徒たちとの交流では、巧みに英語を使いこなす同年代の姿に強い衝撃を受ける生徒も多いそう。それらの経験が、今後のより深い英語学習へのモチベーションにもなっています。
また中2では、日本語禁止の『イングリッシュキャンプ』(2泊3日)、希望者には、カナダやニュージーランドへの『語学研修』(約10日・希望者対象)で、ホームステイしながら現地の学校で学ぶ制度も。今後はインターネットを使った『オンライン英会話』にも力を入れていきます。もちろん、大学入試など“学力”としての英語も重視しています。英検の取得にも力を入れ、その合格率も着実に上昇中。
また、現在の中1からは、入学試験に『英語入試』を採用しました。『適性型入試』『自己表現型入試』も導入し、2020年の大学入試改革も見すえた思考力・表現力も問うようになりました。
生徒の国際力を単に英語力のみで捉えるのではなく、あらゆる学習や行事において、プレゼンなどで“発信する”機会を多数設け、未来を見すえて“国際社会で活躍するリーダーを育てる”ことを目指しているのです。
『オンライン英会話』では、フィリピン・セブ島のネイティブスピーカーとマンツーマンで会話する。オールイングリッシュのコミュニケーションに四苦八苦しながらも、何とか話そう、伝えようとする生徒たち。
地元の歴史や文化を学ぶフィールドワーク『てくてくウォークラリーin堺』で学んだことをプレゼン。こうした経験を数多く積ませ、発信力、表現力を磨く。その力は、海外校との交流時にもしっかり生かされている。