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進学通信No.68-甲南女子中学校・高等学校
22
3月
  • 進学通信No.68-甲南女子中学校・高等学校
  • №68 . 教育問答 . 甲南女子 . 進学通信 .

PROFILE
1947年兵庫県生まれ。高知大学教育学部卒業後、神戸大学にてスポーツ社会学の研究に取り組む。甲南女子大学の人間科学部生活環境学科教授として教鞭を執る。2013年、同大学副学長に就任。2015年、甲南女子中学校・高等学校校長に就任。

阪神間で活躍する財閥の子女の教育機関として、1920(大正9)年に開校した同校。「女子教育といえば良妻賢母」という考え方が主流であった大正時代において、「清く、正しく、優しく、強く」という独自の校訓を打ち出し、開校以来、多くの人材を育成し、輩出してきました。2020年に創立100周年を迎える同校のこれまでと現在、これからについて、校長の岡田明先生にお話をうかがいました。

校訓「清く、正しく、優しく、強く」に基づいて、まことの人間をつくる歴史ある学舎
貴校は、建学の精神を「まことの人間をつくる」とされています。「まことの人間」とは、どのような人を指すと考えておられますか。

それがどのような人のことを言うのかを考えるとき、さまざまな表現ができると思いますが、本校には「清く、正しく、優しく、強く」という校訓があり、この校訓で示している4つを持ち合わせた人こそ「まことの人間」だと私は思います。

 本校の前身となる甲南高等女学校が開校したのは1920(大正9)年のことでした。その後、1955年に甲南女子短期大学、1964年に大学が開学されました。途中、短期大学は大学の短期大学部となり、現在は中学校、高等学校、大学、大学院が、甲南女子学園として同じ建学の精神に基づいて、「まことの人間をつくる」という目標に向かって教育に取り組んでいます。

1920年代に開学した女子教育機関の校訓に「強く」という言葉があることに驚きを覚えます。

女子教育といえば「良妻賢母」と言われた時代に、「清く・正しく・優しく」だけでなく、「強く」という言葉が入っているところに、甲南女子学園の真髄が表れていると思います。

 学園は、関西で活躍する財界人たちの「娘を教育するための学校を」という思いで開学されました。財界人の娘さんを教育するための学校をつくるのであれば、最初から資金が潤沢にあったのだろうと考えてしまいますが、そうではありません。関係者が奔走して資金を工面し、開学に至ったのだと聞いています。このエピソードを聞いて、骨太いといいますか、地に足のついた学校という印象を受けました。

 また卒業生には、株式会社ファミリアの創設者の1人である坂野惇子さん、直木賞作家・佐藤愛子さん、東京都知事・小池百合子さんなどがおられ、この方々が発している存在感から、校訓が「清く・正しく・優しく」に加えて「強く」という言葉があることに大いに納得しました。

自己を見つめる行、目標に向かって学べる学習環境で、生徒の力を伸ばす6年間
「まことの人間をつくる」ために『聖座』という行があるそうですね。『聖座』について教えてください。

『聖座』は、「清く・正しく・優しく・強く」の身心を養うために、本校の大切な伝統のひとつとして受け継がれている行です。具体的には、椅子にもたれずに背筋を伸ばし、目を開けて、身相を整え、ただ座るのです。式典をはじめ、中学生の道徳の授業や全校集会などの場で、必ず全員で行っています。

今年で創立97年を迎える長い歴史のある本校ですからOGは全国におり、同窓会の支部も近畿圏を始めとして関東、中部、九州、四国と各地にあります。

先日、ある支部の同窓会に参加したところ、ご高齢の卒業生の方たちが一斉に聖座をされるのを目の当たりにしました。皆さんご高齢にも関わらず、背筋がスッと伸び、清らかな目で心を静めておられました。その姿は本当にすばらしく、「さすが甲南女子学園」だと思ったことが、今も心に残っています。

人間教育だけでなく、約10 年前には『S アドバンストコース』『スタンダードコース』の2 コース制を実施し、大学合格実績にも大きな成果が表れています。

『Sアドバンストコース』は、国公立大学を目指すコース、『スタンダードコース』は国公立大学だけでなく、甲南女子大学を始めとした私立大学を目指すコースです。

『Sアドバンストコース』は、2 クラス制、『スタンダードコース』は3クラス制としています。どちらのコースも中1 ・中2 を“基礎期 ” として学習姿勢を身につける2 年間です。中3・高1 は“充実期 ”として、基礎期で培った学習姿勢を基本に自ら学び、自ら考える積極性を養い、将来を見つめる力を高めます。さらに、高2・高3は “発展期 ”として、将来の目標を明確にして、進路実現のために、これまでの学びをさらに発展させていきます。

また『Sアドバンストコース』は、春期・夏期講習を必須として、高2 からは生徒一人ひとりの目標に応じて文系、理系に分かれて学びます。

『スタンダードコース』は、さまざまな進路実現を目指して学び、“基礎期 ”の間に『S アドバンストコース』への転コース試験を受けることができます。

 2000年頃、女子校、女子大への入学希望者が大幅に減少したことがありました。このような流れのなかで、目標に合わせて学ぶ2 コース制を導入し、『S アドバンストコース』1 期生から京都大学、大阪大学合格者を輩出しただけでなく、『スタンダードコース』からも京都大学への進学を実現させた生徒もいました。その後も合格実績は順調に伸び、2014年以降は東京大学をはじめ京阪神大を中心に国公立大への合格者を多く輩出しています。

 現代において保護者の皆さまが女子教育に期待することといえばきめ細かい指導と学力向上を通じて「生きる力」を養うことだと思います。本校は「まことの人間をつくること」と「コース制による学力向上」、さらに、生徒一人ひとりの個性と意欲を伸ばす「総合学習」、多彩な学校行事などを通じて、保護者の期待に応えることができていると実感しています。

高3 の卒業文集を見ますと、%の生徒が「この学校で良かった」と書いていました。その理由として「授業が楽しい」「自分の得意なことで頑張れた」と素直な文章で表現されており、その文面からは、明るくて活発な生徒たちの学校生活のようすが伝わってきます。

甲南女子学園の 100年の歴史と伝統を踏まえ、 次の 100年へ向かって新しい歴史が始まるとき

体育大会など、学校行事でユニークな制度があるそうですね。

体育大会は、中1から高3まで学年を縦割りにして赤・白・黄・緑の4つの団に分かれて、競技を行います。この団は、クラス替えをしても中1から高3まで変わらず、6年間同じ団員同士で結束して競技に取り組みます。実は、私の妻と娘も本校の卒業生なのですが、妻は緑、娘は白と聞いています。私の家族だけでなく、卒業生は必ずと言って良いほど「私の団は ○○」とおっしゃいます。そのくらい、6年間にわたる団での活動は心に残るようです。体育大会当日は、団ごとで応援合戦を行うのですが、保護者の方も大勢、見に来られて大いに盛り上がります。体育大会の当日だけでなく、普段の学校生活でも、団員同士は結束が強く、廊下ですれ違っても言葉を交わします。

 また、体育大会は5月上旬に開催し、文化祭は4月下旬に行うため、この2つの学校行事を合わせて『KonanGirls’Festival』と称しています。文化祭も体育大会同様に活気にあふれ、保護者や関係者など約5000人もの方が来校してくださいます。 このほか、下級生と上級生がつながる機会として『年級委員』という制度もあります。これは、中1の朝終礼時に、高2がクラスにやって来て連絡事項を伝えたり、学校生活全般のアドバイスをするという制度です。中1にとって高2の年級委員は、何でも相談できるあこがれの存在です。高2の年級委員にとって中1生は、可愛い妹でもあります。

 部活動以外で、体育大会の団や年級委員の活動を通じて、年齢やクラスを越えた人と人とのつながりが自然なかたちで存在することは、多感な時期の生徒たちにとって、とても良いことだと感じます。

2020年、貴校は創立100周年を迎えます。今後の取り組みや目標などについて教えてください。

「甲南女子学園」と聞くと、誰もが良いイメージを持ち、好意的に受け止めてくださいます。それは、100年という長い年月が醸した学園の文化と校風がそうさせるのだと思います。100年かかってつくり上げたかけがえのない伝統を守りながら、現代女性に求められる力を養う女子教育機関として、今以上に存在感を発揮していきたいと考えています。

 現代女性に求められる力とは、生き抜く力です。生き抜く力とは、自分で考え、行動し、道を切り拓く力です。勉強はテストや受験のためだけでなく、生き抜くために必要な力をつけるためのものです。今後も、「清く、正しく、優しく」そして「強い」凜とした女性を育成していきたいと思います。

背筋を伸ばして、目を開き、心を静める『聖座』。「まことの人間」をつくるための行として、受け継がれている。

学年を縦割りにして赤・白・黄・緑の4つの団に分かれて競技を行う『体育大会』。6年間、同じ団に所属するため、仲間の絆も強くなる。

100周年記念行事として食堂がリニューアル。さに、全グラウンドを人工芝化する予定。
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