『医進コース』といえば医学部進学に強く、『グローバルコース』は語学や国際教育が中心…。一般的な私立中高のコース分類はそうした認識であり、学習カリキュラムなども全く異なるものという印象も強いでしょう。しかし、この2つをかけ合わせた、興味深いコースを設置しているのが滝川中学校・高等学校です。
以前から、医学部進学に高い実績を持つ屈指の進学校として知られる同校ですが、2015年度にコース制度を改編し、従来の『医進コース』に加え、『医進グローバルコース』を新設したのです。その理念を、江本博明校長は次のように語ります。
ように語ります。「現在の小学生の65%が今は存在しない職業に就くとか、今ある仕事の47%がコンピュータで代用されるようになる、といった未来予想に関する研究が叫ばれるようになった昨今。そんな時代を生きていく子どもたちに、中等教育機関の段階で何ができるかを真摯に自問した結果の一つが、『医進グローバルコース』の設立でした」
時代の変化が激しく不確定で、未来予測が困難だといわれる現代。情報がめまぐるしく変化していくこの時代に問われる“生きる力”とは、ただ多くの情報をインプット・アウトプットできることではありません。もちろんそれは不可欠なことですが、加えて、クリティカル(批判的)な思考で前提を疑い、自ら問いを立て、飽くなき探究心を抱いて解決策を探り、乗り越えていく力が欠かせないと言われています。『医進グローバルコース』は、従来の『医進コース』のカリキュラムを組みながら、同時に実践的な英語力と論理的思考力も磨くという、次代のスペシャリスト育成を目指して設立されたのです。「2020年実施予定の新大学入試制度下でも、これらの力を問う試験が課されると予測されていますが、『医進グローバルコース』の設置は、それが理由ではありません。本校は、以前からそれらを重視した教育に取り組んでおりましたので、結果として大学入試制度の改革が後からついてきた形となったのです」(江本校長)
大学受験のためのテクニック論ではなく、あくまで学びの本質を見すえたハイレベルな教育と、人材育成ありきの強い思いがうかがえます。
『医進グローバルコース』の柱は3つ。まずは『医進プログラム』。医歯薬学系進学を前提に、質はもちろん、量的にも理数系に力を入れた授業カリキュラムが組まれています。そして、実践的な英語力と自立心・自律心を育てる『海外3カ月留学』。最後に、新大学入試制度も見すえた『21世紀型スキル』の定着。これらを通じて、グローバル社会で活躍するリーダーを育てるのです。
新コース1期生がいよいよ中3 となる今年、さらなる飛躍が期待 されます。
「自ら課題設定し、仮説を立て、検証・表現することは、医師だろうとどんな組織・職業に就こうと必要な力。それを育てたいのです」(江本博明校長)