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進学通信No.66-関西大倉中学校・高等学校
26
5月
  • 進学通信No.66-関西大倉中学校・高等学校
  • 2016 . No.66 . 校長インタビュー . 進学通信 . 関西大倉 .
松蔭中学校・高等学校
予測不可能な未来を生き抜く「強さ」を持つ人物を育む
PROFILE

1956年、大阪府生まれ。大学院卒業後、化学系の研究職に就くが、3年後に会社が倒産。そうした社会の厳しさを経験したことが、「子どもの“生きる強さ”を育てたい」という、教育者としての志となった。趣味は鉄道旅行で、青春18きっぷを使ってどこへでも行く。一番のお気に入りは、茨城県の『ひたちなか海浜鉄道』。

「揉まれる関係」を避けたがる子どもたち

私はもともと研究畑のサラリー マンでした。ところが入社3年目 で会社が倒産。いきなり収入を絶 たれて社会に放り出されることと なり、自分の中ではとても大きな 挫折を味わいました。しかし今思 えば、それがすべての原点だったのかもしれません。

その後は教職に道を見出し、公立校で教鞭を取るようになったのですが、子どもたちを見ていて強く感じたことがあります。まじめだけれども、どこか打たれ弱い印象を受けました。人間関係が希薄とでもいうのでしょうか、「あの子にはあの子の事情がある」という言葉を建前に、人との衝突や干渉を必要以上に避ける傾向を感じました。たとえばみんなで行う掃除をさぼる生徒がいても、変に相手を理解して誰も注意すらしない。予定調和や空気を読むことを優先し、話し合いを避けるような姿が強く目についたのです。それは決して理解や寛容などではなく、単なる逃げであり他者への無関心。核家族化や行き過ぎた“個”の尊重など、原因は複雑に絡み合っているでしょうが、とにかく「このままでいいのか」という大きな不安を抱きました。

確かに生徒たちは、根がまじめなので勉強はそこそこできる。しかし私が経験したように、このまま社会に出て大きなつまずきを経験したときに、果たして立ち直れるのでしょうか。変化に富み、未来予測が困難なこの時代において、タフに生きていけるのか。2020年実施予定の新大学入試制度にともない、そうした人間力も合否の対象となることが取りざたされています。いわゆる有名大学に進学させるだけではダメだ、というのが私の思いなのです。

とにかく「強い子」を育てたい

もう一つ、私の中で大きな原動力となっているのが、教職について初めて赴任した学校でのこと。そこはいわゆる“教育困難校”と呼ばれる荒れた環境にありました。しかし経験が浅かった私は、こともあろうか「勉強できないのは、真面目にやらないお前たちのせい」と決めつけてかかってしまったのです。当然、そんなことで生徒たちと通じ合えるはずもなく、指導は困難を極める一方で、私はついに過労で血を吐いて倒れてしまう羽目に。またも挫折を味わいました。そんな思いを抱えて自問したのが「自分は生徒と向き合ってきたのか」「子どもに変わってほしくば、まず大人が変わるべきではないか」という猛省です。教育者としての覚悟を決めた瞬間でした。このときの思いと、研究者の職を失ったときの思い。この2つの体験が、現在、私が抱いている学校づくりの理念になっているといえるでしょう。

とにかく、“主体的で強い子”に育てたい。そのために、常に子どもたちが主役の学校にしたい。それを体系的なプログラムに落とし込み、「自分1人ではできない、仲間とともに困難を乗り越える環境」を意図的に作り出したいですね。

学校の行事なども、生徒主体で計画・運営すればよいと思うのです。自分たちの学校の、自分たちの行事なのですから、もっと自分たちでデザインしていい。学校や先生が用意したプログラムに“物わかりのいい良い子”として型どおりに乗っかるだけでは、社会を生きるタフさは育ちません。また学校案内パンフレット等の制作にも生徒に携わってもらい、自ら学校の良さを発信してもらおう、というプロジェクトも進行中です。

生徒が心から「楽しい!」と言える学校に

私が本校に校長として着任してまだ1年足らず。多くはまだ計画段階ではありますが、特に注力したいのが、中高一貫コースのカリキュラム改革です。高校受験がないという時間的なゆとりを生かして、中3の3学期を、生徒個々の『マイプロジェクト』を実行する探究期間にできないかと考えています。

たとえばそれは、海外留学でもいい。本を読んでビブリオバトル(おすすめの本を紹介し合い、ディスカッションし、どの本が一番読みたいかを決めるもの)を行うのもいい。本校の『関倉100冊』という独自の推薦図書の読破に挑戦するのもいいと思います。将棋でも囲碁でもプログラミングでも、とにかく興味のあるものを徹底的に研究・調査したり、技術を高めたりしてほしいのです。

先述の行事の自主運営や、学校広報活動もそうです。させてみれば、生徒にはきっとその力があるはず。誤解のある言い方かもしれませんが、もっと放任主義でもいい。生徒も、あるいは学校も、失敗を恐れすぎなのです。生徒には「失敗していい。だからまずチャレンジするんだ!」という価値観とその喜びを知ってほしいと思っています。

それはすなわち、自分の力で食べていく力であり、それこそがいま必要な学力の一端ではないでしょうか。変化の激しい現代において、知識や情報はすぐに古くなります。それを越えていくには、「自ら」「ずっと」学び続けていける大人になければ。そのための好奇心、「なぜ?」という問いを、もしかすると今までの学校は押しつぶしてきたようにも思うのです。キーワードはとにかく「参加」すること。それを通じて生徒たちが「関倉は楽しい!」と胸を張って言える学校にしたいですね。

もちろんそのためには、教員一人ひとりの意識改革も必要です。「何のために教員をしているのか」という原点にいつも立ち返りながら、それでいて変化を恐れない、そんな学び舎にしていきたいと思っています。

受験生へのメッセージ
在学中はもちろんですが、卒業後にも「関倉でよかった!」と思えるような、生徒が主役の学校づくりを目指しています。誰のものでもない、自分の学校生活、自分の人生を満喫するためにも、ぜひ関倉で強くたくましく育ってほしい。あなたに会えるのを楽しみにしています!
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