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進学通信No.66-三田学園中学校・高等学校
24
5月
  • 進学通信No.66-三田学園中学校・高等学校
  • 2016 . No.66 . PICK UP TOPIC . 三田学園 . 進学通信 .
三田学園
生徒には『Orihime』の存在を内緒にしたまま、「こんなロボットがあったら何ができると思う?」と事前に話し合わせ、レポートを作成。そして『Orihime』と対面すると、本当にそのようなロボットが存在することを知って驚いたようす。今後は営業を展開すると言う観点から、グループの仲間とともに活用プランを練り上げていく。

相手の表情を想像でき、徐々に『Orihime』がその相手本人に見えてくるように」との思いから、喜怒哀楽いずれの感情にも順応するようつくられた能面を参考にデザインされた『Orihime』。拍手やツッコミのアクションも登録されている。

手慣れたようすでタブレットを操作するパイロットクラスの生徒。「今日の授業では『Orihime』の機能や操作方法を学ぶにとどまりましたが、文化祭でのデモンストレーションも経て慣れ親しむことができれば、『こんな機能もあったらいいのに』といった意見も出てくるかもしれません。高校生ならではの自由な発想で楽しみながら取り組み、自分の興味ある分野からのアプローチを試みる過程で、さまざまなことを調べ、考えてほしいと思います」(中西先生)

1人1台のタブレットが導入されているパイロットクラスに限らず、日常的にグループワークを実践している同校。「数学では難問をグループで解いたりしています。それ以外の時間も、ちょっとした疑問をすぐに解消できるよう、隣同士で机をつけてペアワークのスタイルをとっています」(平内先生)

文化祭で行われた『オリヒメ・ロボット体験』のようす。タブレットによる遠隔操作で、離れた場所にある2台をネット回線経由で交流させ、その魅力をアピール。多くの来校者の注目を集めた。

資料のコピーや配布、板書の手間を省くことができるのも、タブレット導入の大きなメリットの一つ。時間に余裕が生まれるため、一方的に正解を教えるのではなく皆で考える時間を設けることができたり、先生と生徒が個別にやりとりする機会が増えたりと、学びの質向上に大きく貢献している。

電子黒板で『Orihime』の視界の広さを確認。テレビ電話とは異なり、操作者が本当に会議や授業に参加しているような臨場感を味わえるのが大きな特徴だ。そしてそこに座っているかのように相手を見て話すことができ、相手もそのことを実感できることが“、分身ロボット”ならではの魅力。

同校ではここ数年、以前から実施してきたアクティブラーニングのさらなる質的向上を目指し、教員による『授業力向上委員会』において、ICTと連動させた授業の研究に力を注いでいます。

2018年度には中1から高2で1人1台のタブレットが順次導入されますが、それに先駆けて2016年度、全クラスに電子黒板が設置されました。現在はパイロットクラスとして、『関学コース』の高1生が1人1台のタブレットを所有し、授業や家庭学習で活用しています。『授業力向上委員会』の中心を担う入試広報部・平内秀樹先生は次のように話します。「ICT機器を活用したアクティブラーニングのねらいの一つは、主体的に学ぶ姿勢を育むことにあります。その成果は、大学受験のグループ面接や小論文などにも現れることでしょう。そして何よりも重要なのは、中高時代に、大学や社会で求められる基礎力をいかに培えるかということだと考えています」

また各教科の先生の話からは、授業で確かな手応えを感じているようすが伝わってきます。「電子黒板の導入で、授業は大きく変わりました。高校の理科では画像を見せたり、中学での学習内容を思い出してもらうために、中学の教材を映し出すなどしています。それらを見ながら、やりとりをしているなかで自然と話が広がっていくのを見て、視覚刺激の効果を実感しています」(高1学年主任・中西義典先生)「社会科では、時事問題などの解説時に地図や写真を映し出すだけではなく、そこにグループディスカッションを取り入れることで理解度を高めています。自分の主張が間違っていた場合は記憶にしっかりと残りますし、仲間の博識な一面を発見する機会にもなっているようです。またグループワークを通して解いた問題の定着率の高さが、テスト結果から読み取れます」(高校教頭・宮崎裕史先生)

さらにパイロットクラスでは、総合学習において新たな取り組みが行われました。分身ロボット『Orihime(おりひめ)』の導入です。『Orihime』はカメラ・マイク・スピーカーが搭載された半身ヒト型ロボットで、パソコンやタブレットで遠隔操作することにより、その場を見回したり、手を挙げたり、ロボットに文章を読み上げさせることで会話もできます。連絡したい相手がいる場所に置けば、自分がその場にいなくても、まるで『Orihime』が自分の分身であるかのようにコミュニケーションを図ることができる“人と人をつなぐロボット”。思うように動けない高齢者の方、身体的・精神的理由で学校に行けない子どもなどの分身として、医療・介護や教育の現場で導入されています。

『Orihime』を使った第1回目の授業では、職員室にいる先生と会話を楽しむことで、その機能や操作方法、テレビ電話とは異なる、まるで教室に先生がいるように感じられる分身ロボットの魅力を学びました。さらに理解を深める機会として、文化祭では来校者に向けて『Orihime』を使ったデモンストレーションに挑戦。ほかにも、「営業として『Orihime』をいかに、どのようにして売り込むか」をテーマに、グループワークや発表を行います。「この取り組みを通して、伝える力だけではなく、相手の気持ちを読む力、そのために必要なことを聞く力もコミュニケーションの一環であることを体感し、それらを結集させてプレゼンテーションを行う能力を身につけてほしいと考えています。『Orihime』はタブレットを使いこなせるようになるためのツールの一つではありますが、それだけにとどまらず、自由な発想を育んだり、行きたい学部の学問領域から課題にアプローチすることで大学での学びに対する意識を高めたりと、さまざまなプラス効果があるものと期待しています」(中西先生)

着実に進化を遂げる同校のアクティブラーニングの今後の展開について、平内秀樹先生にお話をうかがいました。「本校には“質実剛健・親愛包容”という建学の精神が浸透しており、“伝統の全人教育”という教育理念もあります。『授業力向上委員会』では、よりよい授業を模索するなかで、それらをいかに日々の教育活動に落とし込むかという教育目標を今一度考え共有し合おうという動きが生まれ、その提案・検討を進めているところです。教育目標を明確化し方向性を定めることで、大学入試改革も踏まえ、単に新しいだけではない、本校らしい質の高い授業を展開していきたいと考えています」

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