毎週1時間ずつ設けられている『国際理解』の授業。ディスカッションを深めたり、JICAなどの国際協力団体の職員を招いて講演を行ったり。こうした基礎知識を育んだうえで、留学という“現場”に臨む。
「変わらない理念を現代に照らして具現化するため」と、センター設置の意図を語る江本校長(右)。各センター長は左から、服部先生、越前先生、谷山先生。全員がその分野に高い実績を持つエキスパートだ。
『新教育プログラム支援センター』は、基礎学力のように数値化しにくく、しかし社会を生きる上で必須となる力の育成が目的。例えばキャリア観、探究力、問題発見・解決能力など。これらはまさに、大学入試改革後の試験でも評価基準となることが決まっている、非常に重要な要素です。
授業では、企業に赴き、社員に密着して仕事について学んだり、マインドマップを使って思考を整理したり、正解のない問いを設けてディスカッションしたり。
「教え込むのではなく“考えさせる”教育を実践したい」と、センター長の谷山由夫先生は意気込みを語ります。
一方、新設の『医進グローバルコース』において、中3でニュージーランドへの海外留学制度を敷いている同校。これはなんと3カ月もの長期間にわたる本格的な留学であり、中学校として極めてめずらしいカリキュラムです。他コースでも、オーストラリアやカナダへの短期留学制度がありますが、『留学支援センター』はこれらの支援と充実を図ることを目的に設置されたもの。
「本校は、この分野においてトップを走りたいと考えている。留学自体も大事ですが、そこに至る学びと、帰国後の伸びを重視したい」と胸を張るのは、センター長の越前伸也先生。放課後補習といった地道な実践はもちろん、最終的に高校で英検1級取得を前提に精力的な英語教育を次々に実施しています。
「海外を体験すれば、生徒たちも自分に何が足りないのか見えてくる。それを礎に、どこでも生きていける力と、教養と、語学力を育てたい。これらがそろって初めて、真のグローバル教育だと思うのです」(越前先生)
とはいえ、基礎学力なくして発展的な応用はあり得ません。『進学支援センター』のセンター長・服部修三先生は次のように語ります。
「正解のない新しい教育も大切だが、答えのある“確かな真実”もきちんと身につけさせたい」
もともと高い進学実績を誇る同校では、昨年も3名が京都大学に合格。『進学支援センター』の設置は、さらにハイレベルな成果を求め、開かれた進路指導を目指すためです。例えば同センターのホームページからは、先生が自力で編集した大学入試情報が閲覧できます。これは全国の主な大学の入試日程、過去問から教育理念・沿革までをも網羅した、圧巻のデータベースです。また、一般に「入りづらい」雰囲気の進路指導室を高3の教室フロアに移転し、常に先生が常駐する態勢を構築。進路からメンタル面の悩みまで、親身に相談に乗ってくれます。
3つのセンターの設置は、理数教育と同時に実践英語や論理的思考力を伸ばす『医進グローバルコース』を新設したことも理由の一つでした。しかし本質は、私学として決して変わることのない教育理念を、変化の激しい現代社会に照らして忠実に具現化させること。その成果がこれらのセンターなのだと江本校長は言います。
時代に合わせて変えるべきものと、変えてはいけないもの。「理想を見すえて、具体に示す」、それが滝川の教育なのです。
進路相談室は、常に扉が解放されているなど「開かれた、親しみやすい進路指導」を目指す。こうした地道で小さな心配りが、難関大学合格という大きな成果を生む。
『レビュータイム』は、1週間の授業を振り返って行う基礎徹底の時間。放課後の補習等ではなく「授業」であることが特徴だ。週39時間の授業のうち2時間を割き、先生のいる環境で予習・復習に挑む。
生徒が作成したマインドマップの一例。ここでは自分の好きなことから将来の目標を導き出しているが、世界史のできごとを覚えるためにマインドマップを応用するなど、自らアレンジする生徒もいるという。
マインドマップを作る生徒。『マインドマップ』とは、考えたいテーマを中央に据え、放射状に関連するキーワードを書き出しながら発想を広げる思考法。学んだことを活用する力が鍛えられていく。