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進学通信No.63-京都学園中学校・高等学校
25
3月
  • 進学通信No.63-京都学園中学校・高等学校
  • 2016 . No.63 . 京都学園 . 進学通信 .

真の国際人育成を目指し
『GNコース』として一本化

「不連続で急激な変化を続ける世界の荒波をタフに生き抜け。次代の牽引者・グローバルナビゲーターであれ」
かねてより英語・国際教育分野で高い評価を得ていた京都学園が、その集大成として来春よりコースを改編。従来の3コース制度を『GNコース』に一本化し、満を持して真の国際人育成を目指します。『GN』とは“Global Navigator” の略で、2015年、高校が『スーパー・グローバル・ハイスクール(国際的に活躍できるリーダー育成に取り組む高校を文科省が認定する制度)』に選出された際に掲げた、同校が目指す人物像。これを“豊かな創造性と旺盛な好奇心を有し、多種多様な国や文化を乗り越え協働でき、多角的な視野をもって現象と専門的知識を関連づけ、常に失敗を恐れず行動し続けることができる人物”と定義し、より精度の高い育成を進めるため、この理念を中学とも共有しながら、完全な中高一貫体制を目指したのが、このコース再編の根本理念です。

  2011年に、アメリカ・デューク大学の研究者・キャシー・デビッドソン氏が発表し話題となった「この年、小学校に入学した児童の65%は、現在は存在しない職業に就くだろう」という予測。社会の変化スピードが激しく、従来の仕事が機械やIT技術にとって代わる中で、新しい価値や職業が次々に生まれるというのです。そんな社会において必要なのは、前提を疑い、既成の枠に捉われない発想ができる“クリティカルな思考力。それらを使って、正解なき問いの答えを導き出す「問題発見力」「問題解決能力」。異なる価値観と共生できる「コミュニケーション力」。こうした社会的危機感や人物像を念頭に、佐々井宏平校長は、GNが目指す理想を情熱的にこう語ります。

「2030年。これを私たちは“21・3世紀”と呼んでいますが、生徒たちが社会人で活躍できる時期を見すえたとき、『私には何ができるのか』という問いに対する答えがGNなのです。私たちの目指すグローバル人物は、単に英語が堪能とか、海外で働いているとかいうことではありません。次代のリーダーとして活躍する人物を育てたいのです。スーパー・グローバル・ハイスクールに認定されたのも、本校が長年取り組んできた国際人教育が評価されたからですが、これをまさしく本校の存在意義としてより明確に確立させます。21・3世紀のGlobal Navigatorの育成こそ、長年目指してきた理想の姿。それがついに具体的な形として一定の完成を見たのが、このたびの『GNコース』への改編と言えるでしょう」(写真:佐々井宏平校長)

 GNコースは『GN一貫』『GN探究』の2クラスで編成されます。『GN一貫』は、海外の大学を含む難関国公立大への進学を見すえて頑張りたいという生徒を対象に、先取り学習や独自の超上位層育成プログラムを展開。『GN探究』は、その名が示すとおり、自己探究を深めながら進路を考えるクラス。中学期の3年間で自身の適性理解を深め、高校期に入ると具体的な進路を見すえた4コースに分かれます。
 ただし、「GNを育てる」という基本理念は両クラスで共通しており、単純な“一貫=特進”“探究=普通”というコースの概念とは少し異なるもの。大学合格がゴールではなく、あくまでGNを目指す過程の中で、早期から明確に進学先を見すえて学びたいか、学びながら発見していきたいかの違いなのです。

  GN一貫クラス  
『GN一貫』が進路として目指すのは、東大・京大、医学部、海外大学といった超難関大学。高校からの生徒募集はなく、完全な中高一貫制度です。中1次からある程度明確に進路を見すえて、6年間の独自カリキュラムで全教科・全科目に対応します。
具体的には、高校に入ると毎日7時間授業を実施するほか超難関大数学講座、個別指導、添削指導などが充実。主体性や論理的思考力、あるいは「読む・書く・聞く・話す」の英語4技能がオールラウンドに問われる、2020年からの実施が予定される新大学入試制度も見すえながら、ハイレベルかつユニークな環境で学びます。
理系学力伸長にも力を入れており、中でも目を引くのが『サイエンスイマージョン合宿』です。イマージョン教育とは、特定の言語(外国語)を学ぶ際に、直接的にその言語を学ぶのではなく、その言語を使って他教科を学ぶ手法。この合宿では、ネイティブスピーカーかつ東大・京大レベルの理系研究者たちを指導者として招き、実験を始め、その後のディスカッションやプレゼンテーションなどもすべて英語で実施。朝から晩まで英語+科学漬けの3日間となります。
このイマージョン教育に対する意識は、一貫クラスに限らず同校全体の共通認識となっており、あらゆる場面において英語学習とつなげていく取り組みを実践・計画中。もちろん英語力そのものも強化させ、高校卒業時には英検準1級〜1級、TOEFL iBTスコア80〜100を目標とする手厚い指導カリキュラムが組まれています。


  GN探究クラス  
『GN探究』は、6年間を3年ずつ2分割し、「適性発見期(中学)」「適性伸長期(高校)」としているのが特徴。カリキュラムの時間数は一貫クラスと同じですが、進度が異なるイメージです。『GN一貫』が当初から進路目標を明確にしているのに対し、『GN探究』は、中学時代のさまざまな取り組みから試行錯誤しながら、時間をかけて自分の適性を探すという柔軟性があります。
目標進路は国公立大・難関私大としていますが、超難関大もねらえる指導態勢も整え、選択肢を広く捉えることができるのが特徴です。
具体的には、中学3年間(適性発見期)で基礎・基本を徹底しながら学力を伸ばし、自らの興味・関心がどこにあるのかを探究。それを経て、高校進学時に4コースのいずれかを選択するスタイルです。
コースのラインナップは、よりハイレベルな大学を目指す『特進A D V ANCEDコース』、7〜10カ月もの長期留学制度を擁する『国際コース』、部活動も頑張って文武両道を重視する『特進BASICコース』、幅広く進路を考える『進学コース』。同校が従来設置していたコースを“GN育成”という共通認識を念頭に再編・発展させ、このクラスに組み込みました。

方向転換ではなく、より理念・理想に沿う

 それぞれの特性を活かした2つのクラスですが、共通するのは「Global Navigatorを育てる」という強い理念。課題解決型学習など、アクティブ・ラーニング要素を活かした授業で論理的思考力や批判的思考力を磨くのは両クラス共通です。さらに、全クラスの副担任にネイティブ講師を配置するほか、2週間のカナダ研修旅行も実施。教室に全員分のノートPCを配備し、eラーニングによる英語学習なども快適に行える環境を整えました。英検2級〜準1級対策講座の『超英語』や、高校の先取り学習をしていく『超数学』(写真)なども実施します。
 ただし、従来行ってきたことを止めるわけではありません。同校の代名詞ともいえる探究型キャリア学習『地球学』も、GNの概念を見すえてさらに充実させます。また、スキルばかりをやみくもに磨くのではなく、人の温かみがわかる感性を育てるなど「本当の意味での人間教育」への思い・取り組みは決して変わりません。

「このたびのコース改編は、決して方向転換ではありません。これまで追い求めてきた理想が体系立てられて、より本校の理念が体現できるようになった証なのです」
 という佐々井校長の言葉が示すように“真のグローバル人物=GNの育成”が、いよいよ始まります。

   変わらない京都学園らしさを示す数々の取り組み   

●屈指の人気講座『地球学』
 同校の国際理解の精神は、海外文化への興味以前に、日本で育ち・学ぶ者として、その誇りを胸に、まずは日本を「発信できる」国際コミュニケーション力を養うこと。そんな知的好奇心と国際理解力を涵養すべく、6年前から始めたのが『地球学』。今では地球学を学びたいがために同校に入りたいという生徒もいるほど。
  フィールドワークや調べ学習を駆使し、例えば京野菜がテーマなら、農家民泊(生産)→市場の調査(流通)→有名料亭での調理・食事体験(消費)を経て、海外研修旅行で日本食パフォーマンス(輸出)を行うなど、段階的な学びが構築されています。世界を知りに行くというより、日本・京都を世界に「発信する」という誇らしい発想なのです。


●中学生が挑む『卒業論文』
高校に進学する前には、個々が『卒業論文』に挑戦。約半年という時間をかけて徹底的に研究。テーマ設定は原則として自由で、自らの興味があることを掘り下げる生徒もいれば、地球学で学んだことをさらに深化させる生徒も。先生のアドバイスを受けながら、資料収集からその分析、論文としての構築まで自分で行い、最後は全員の前でプレゼンテーションします。
論文は実にハイレベルで、例えばある生徒は、好きなゲームのキャラが雷を自在に操るのを見て「体内で100万ボルトを生成しても感電しないのはなぜか」を調べて自分なりの裏付けを示すなど、先生方も「まさかそんな着眼点があるとは!」「これほどのものを中学生がまとめるのか!」と、生徒たちの自由な発想力に驚きの連続だそうです。


●感謝と志を学ぶ『海外研修』
 中学では、全員が約2週間の海外研修旅行でカナダを訪れます。ホームステイをしつつ、現地の学校や地域の人々と交流を深めますが、参加した生徒たちが口をそろえて言うのは「将来は、国境を越えて人に手をさしのべられる人間になりたい」ということ。現地で受けた親切を、自らが国際人となって還元したいという発想を抱くのだそう。「楽しかった」で終わるのではなく、実際に世界において自分が何をするか、世界を視野に将来はどのような道を目指すのかという意識喚起につながっているのはさすが!
 卒業生には、海外の柔道ナショナルチームのコーチもいれば、中東で社会貢献活動をしている人、フレンチレストランでソムリエをしている人など多数いますが、彼らの原点も、みんなこの研修旅行だったのです。

(取材・文/松見敬彦)


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