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進学通信No.63-雲雀丘学園中学校・高等学校
07
3月
  • 進学通信No.63-雲雀丘学園中学校・高等学校
  • 2016 . No.63 . PICK UP TOPIC . 進学通信 . 雲雀丘学園 .

 将来、社会を担うリーダーの育成を目指し、〝人間教育〟と〝学力の向上〟を教育方針の両輪に掲げている同校。2008年より人間教育の柱として〝環境教育活動〟を位置づけ、人への思いやりや真心を育てています。


 大きな特徴は、中高6年間で体系的な年間カリキュラムを立てて活動を行っていることです。環境について、①関心を持つ②理解する③行動する④伝えることができるよう、さまざまな活動を実施。畑作りや里山保全活動を体験したり、家庭科の授業では、日を決めて地元の食材を使ったエコ弁当を作り、生徒会では雨水を利用した雨水タンクの設置やエコ文化祭の開催などを行っています。
◆写真◆家庭科の授業の一環として、毎年“エコ弁当の日”を決め、全生徒に地産地消を意識した手作り弁当を持参させている。

中1では電力消費を抑えるグリーンカーテン用のゴーヤ苗配布や、エココンクール作品出展、外来種についての環境講座、里山の再生をテーマにした『きずきの森保全活動』を、中2は自然現象の不思議を発見し、観察や実験をしてまとめる“科学の芽”作品応募や、水の大切さを知る環境講座を始め、夏休みの林間学舎では水と森林をテーマに大山登山や奥大山サントリーブナの森工場見学、水源涵養のためカエデやブナの植樹を行います。中3は研修旅行で沖縄に行き、マングローブの観察やサンゴの植え付けなどのフィールドワークを行います。


 3月に行われたのは、中1の『きずきの森保全活動』です。生態系を乱す外来植物・ハリエンジュの駆除と在来種の植樹が目的でしたが、当日はあいにくの大雨で中止。生徒たちは地元ボランティアの説明を聞きながら、森を散策。それでも、コナラやアカマツの森、フユイチゴの群生地、せせらぎに棲む水生生物などを見て、自然の生態系を守る重要性を理解したようです。
同校近くにある市民管理緑地『北雲雀きずきの森』。以前は放置されていた森を、地元のボランティア団体『きずきの森きずな会』が守っており、きずな会の案内で生徒たちは森エリアを散策した。環境教育活動を人間教育の柱に位置づけている同校では、説明を聞いて終わるのではなく、そこで出会う人々との心の交流、そこから環境について考えさせられることも多いようだ。

「鳥の姿は目で確認したものの、鳴き声が雨で聞こえなくて残念でしたが、多くの植物を見ることができました」 (Oくん)
「枝や葉、地面、小川など、いろいろな場所から違った雨音が、メロディーのように聞こえてきて楽しかったです」 (Tくん)
「雨に流されそうになりながらも落ち葉の下で、頑張って生きている昆虫の生命力に感動しました」 (Aさん)
と生徒たちは話します。また、雨が降っても歩きやすいように整備されているのは、森を守る地元の方々のおかげと知り、感謝する気持ちを感じます。
◆写真◆雨の中、きずきの森の散策がスタート。「学校の近くに森があるので、自然について直に学べ、体験できるのが誇らしい。森は地元の方々によっていつもキレイに手入れされているので、感謝の気持ちでいっぱいです」と生徒たち。「きれいなキノコを見つけた!」とはしゃぐ生徒の声に、「毒があるかもしれないから触らないでね」と止めるボランティアの方。目の前にある自然の厳しさ、すばらしさを生徒たちにわかりやすく伝える。


 環境教育活動の中心となるのが、中1~高1の有志で構成された『環境大使』です。現在、中学生16人、高校生15人で、休日も地元の方々ときずきの森の保全活動や、丹波篠山での黒豆畑作体験などを行っています。毎回、散策コースや畑、あぜ道にゴミがあれば、掃除をして持ち帰ることも自然と身についています。
 彼らはハリエンジュの駆除もしており、定期的に現地へ足を運び、地面に張りめぐらされた太い根を引き抜いています。
「ハリエンジュの生命力の強さと繁殖力に驚き、失った自然を取り戻すのは難しいことなんだと感じました」 (Oくん)
「外来種の駆除と同時に絶滅危惧種を守る活動もしていきたいです」(Sくん)
◆写真◆環境活動を全生徒に提案し、サポートする『環境大使』。ハリエンジュ駆除や環境映画の制作、草木染め、醤油工場、エネルギー館、太陽光パネルの設置施設・発電所などの社会見学。黒豆作りでは植え付けから収穫、葉取り作業まで行います。「小さい頃から昆虫や植物が大好きで、環境にも興味があったので環境大使に。外来種を根絶させ、きずきの森を守っていきたいです」(高1・Kくん)

 環境活動で学んだことは、毎年、学園記念講堂で開催される『環境フォーラム』で、環境大使や学年の代表者が中学校の全生徒と保護者の前で発表。環境活動報告書(環境白書)にまとめて外部にも発信しています。
「環境学習を通じて、生徒たちは家でも学校でもモノをムダにしないよう、3RのReduce( リデュース= ゴミを減らす)、Reuse( リユース= 再使用)、Recycle(リサイクル=再生利用)に結び付けて考えるようになりました。学校で育てたゴーヤやトマトを持ち帰り、家族と環境問題について話し合ってもいるようで、やさしくて思いやりのある生徒の多いことが自慢です」(環境教育推進委員会前委員長・井関雅彦先生)

『環境フォーラム』では、中学生が前年度の環境学習の取り組みをまとめて発表。環境についての講演会も行われる。また、中2は大山、中3は沖縄、高2は北海道研修旅行で、フィールドワークを兼ねた環境講座を開講。

(取材・文/大松有規子 撮影/中川誠一)

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