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進学通信No.60-東山
30
6月
  • 進学通信No.60-東山
  • 2016 . No.60 . 大学合格力強化計画 . 東山 . 進学通信 .
東山
先生は人生の先輩生徒の心に灯をともす

放課後、自習の時間。「今から豚汁を配るぞ~」という校内放送を聞きつけて、生徒たちは鉛筆を止め、歓声をあげて列をなします。200名を超す長蛇の列を前に、教頭先生がお手製の豚汁を一人ひとりにふるまう。そんな、一つの大家族のような光景が広がるのが東山です。

同校は、京阪神大や関関同立はもちろん、東大や早慶など首都圏の超難関大にも多数の進学実績を誇る男子校。しかし、大学進学のために殺気立ち、「勉強させられている」ような雰囲気は全く感じられません。それどころか、先に述べた家族的な空気さえ流れる、ある意味“進学校らしくない進学校”です。

それはすなわち「人に言われなくても、強制されなくても、学力は伸びる」という証明に他なりません。その理由はどこにあるのでしょうか?進路指導部長の柴田昌平先生はこのように明かします。
「純粋に、生徒の夢や将来の目標を何より大切にしているからです。進路選択は、あくまでそこからの逆算。知名度や偏差値ではなく、自分の学びたいことが学べる大学を選ぶべきです。確かに、難関大や第一志望合格も大切なことでしょう。でも、それだけで生徒本人は幸せになれるのか。我々は教育者として、その先にある人生を充実させてくれたほうがはるかにうれしいと感じるのです」

つまり、夢があるから受験勉強も頑張れるという発想。目先の合格を目標としないからこそ、結果として合格もともなってくる――それを、一人ひとりの先生が一途に信じ、実行しているのが同校の進路指導の強みです。

柴田先生はさらに続けます。
「ただ、強引に夢や目標を今すぐ見つけろ、というのも違うと考えます。強制されて抱く夢など、無理やり勉強させるのと変わりません。大事なのは、時間をかけて生徒が自らにそれを問い続けること。そして我々が、その働きかけを続けることです」

合格させるためだけのテクニックなんていらない

もちろん、進学をバックアップするシステムもしっかり整えられています。

そのひとつが『キャンパスビジット』。学内の見学からミニ講義の受講までできる大学見学ツアーで、例年5大学ほどを見学します。また、企業訪問やJAXA職員、弁護士などを招いてのキャリア講演、夢をつかんだOBの体験談に触れる機会もひんぱんに実施し、生徒に“手を伸ばせば届く未来”がそこにあることを実感させます。

また、日常の積み重ねによる学力伸長への「モノ」や「機会」も多数。たとえば、テストごとにPDCA(Plan…計画、Do…実行、Check…確認、Action…見直し)をくり返しながら自立学習の習慣を身につける学習計画ファイル『スタディ・パートナー』。10年後、20年後の自分の姿を言語化し、その実現に向けてするべきことを書き込むユニークな生徒手帳『BLUE GLOBE NOTE』。そして自習室は、夜9時まで、さらに日曜日も使用可能。進路指導室とスペースを共有しており、いつでも先生のサポートが受けられます。

これらを見てもわかるのは、いずれも特効薬のような画期的勉強法を用いているのではないということ。基本的な学習指導を徹底しつつ、やはり常に「なぜ学ぶのか」と自分と向き合い、意欲を高める環境を整えていることが、確かな成果に導いていると言えるでしょう。

そんな教育方針の源になっているのが、『土台力の木』という考え方。生徒が自らの人生を強く、たくましく、そして幸せに生きていくために、しっかり大地に根を張ろう。その大木を支える、何にも負けない“土台力”を身につけさせようという理念です。そこには、受験だとか、偏差値だとか、大学だとかいった言葉は一切出てきません。ただ「夢と希望がある、幸福に満ちた生徒の人生のために」という思いだけに支えられています。それが先生方の原動力であり、進路指導力であり、同校が進学校であるゆえん。最後に、柴田先生が語った言葉が印象的です。
「合格だけが目的なら、ある意味簡単です。有無を言わさず理由も問わず、ただ答えを覚えさせればいい。でも、そんな表面上の受験テクニックなどいらないんです。進路を夢から逆算するのは実に合理的な考えですが、合理性そのものを目指しているわけではない。教育理念と教育者としての思いに忠実に、熱く、泥臭く行ってきた結果が、たまたま理に適っていただけなのです」

こうした指導の成果でしょう。高2で取り組む『未来の合格体験記』では、ある面白い傾向が見られます。これは「自分が志望校に合格した」という設定で想像の体験談を書くものですが、誰ひとり筆が止まる生徒がおらず、用紙はみるみる埋め尽くされていくそう。それも、みんな心から楽しそうに。きっとその姿は、1年後に現実のものとなっているはずです。

「教師自身がやりがいを感じていないと、決して生徒には響かない」と熱く矜持を語る、進路指導部長・柴田昌平先生。

夢を書き込む生徒手帳『BLUE GLOBE NOTE』には、夢とそのために何をするかを書き込む欄がいたるところに。生徒の自分自身への誓いでもある。

先生と生徒の信頼関係こそが、目標進路到達への力を育む。

誰に強制されるでもなく、自然と生徒たちが集まる自習室。満席で入れなくなることもめずらしくないという。

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