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進学通信No.58‐帝塚山
03
9月
  • 進学通信No.58‐帝塚山
  • No.58 . 帝塚山 . 私学最前線 . 進学通信 .

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ESR(電子スピン共鳴分光器)を使った化学実験に挑戦

2014年11月に奈良県で開催されたESR学会の国際シンポジウムに、高校生としては唯一参加した、帝塚山高等学校の生徒たち。ポスターセッションで研究成果を発表し、国内外の研究者と英語で交流しました。
tezukayama01<写真>国際学会に参加した『女子特進コース・Ⅱクラス』『女子特進コース・Ⅰクラス』の7名の生徒たち。研究職に興味がある者から薬剤師や看護師など医療系の進路を志望している者、理科部ロボット班で活動している者までさまざまな興味・関心を持つリケジョが集まった。

この学会に参加した7名の生徒は、同校が2008年より奈良教育大学と連携して開催している『化学実験』体験講座の参加者です。この講座は女子生徒を対象に、化学教育と研究職への理解を深める目的で実施されているもの。彼女たちは大学の研究室でESR(電子スピン共鳴分光器)を使った化学実験に挑戦し、その成果を年1回、企業や大学の研究者に混じってESR学会で発表してきました。その活動が評価され、今回の国際学会参加へとつながったのです。

tezukayama02<写真>高校では奈良教育大学との高大連携で、電子の動きを観察することで対象を壊さず分析できるESR(電子スピン共鳴分光器)を使用した『化学実験』体験講座を実施している。この講座に参加した高2生のうち7名が、ESRを使用した研究を発表する国際学会に参加。化粧品のUV機能や食品成分、昆虫の帰巣に関わる謎に取り組んだ実験結果を発表した。

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<写真>奈良教育大学での『化学実験』体験講座のようす。高校生にとってESRのような大型の測定装置を使った実験を体験できるのは貴重な機会。講座を指導する仲島浩紀先生は、「データ測定で浮かび上がった事実が次の謎を呼び、簡単には結果がでませんが、研究とはそういうもの。講座を通じて生徒たちに、研究とは何年もかけて取り組むものだということを理解してほしいですね」と取り組みのねらいを語る。


 

英語で作った研究発表資料
海外研究者からの質問にも対応

tezukayama03「本校には理系学部進学や研究職を希望する女子生徒が多く、先輩から後輩へと実験結果を受け継ぎながら研究を深めてきました。一部の研究は国から『科学研究費』という助成を得て実施しています。中には実用化の可能性を秘めたものもあるんですよ」(指導教員・仲島浩紀先生)
<写真>実験結果をポスターにまとめて発表。7月に名古屋大学で開催された『ESRフォーラム研究会』で発表した内容を、今回の国際学会に向け英語に翻訳した。

tezukayama05写真>日焼け止めクリーム・スプレーの紫外線防止効果を計測したOさん・Sさんチーム。「今日は会場の規模の大きさと、英語で説明しなければいけないことにとても緊張しました。でもポーランド、オーストラリア、韓国、中国の研究者に英語での説明が通じたのが自信に。メンタルが鍛えられました!」

会場で各国の研究者から、温かなエールを送られていた“帝塚山リケジョ”たち。未来の科学者への可能性が、笑顔の彼女たちを包み込んでいました。
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<写真>ポスターセッションでは、各国の大学院M2(修士課程2年)レベル以上の参加者を中心に130チームから研究が発表された。高校生の参加者は帝塚山生のみ。ハチの体内に含まれる鉄分が巣に帰るためのコンパスの役割を果たしているのではという仮説のもと、昆虫を分析したKさんとMさんは、「研究テーマに昆虫を取り上げたことに興味を持ってくれる人が多かったです。データの取り方について質問され、研究者の実験に対する厳密な姿勢を感じ取りました」と感想を述べた。
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<写真>食品に含まれるとされるミネラル成分が実際にどれくらいの量が含まれているのか、種に含まれたミネラル成分は発芽後どうなるのかなどを、ESRで測定・調査したAさん・Kさん・Tさんチーム。「もともと研究職に興味があったのですが、参加したことでさらに興味の幅が広がり楽しかったです。身近な食べ物でも研究してみると思わぬデータが取れて驚きました。大学の教授からアドバイスしてもらえたり、いろいろな国の人と高校では学べない化学の話ができてよかったです」

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 難関国公立大、医学部、薬学部など進学面でも躍進

tezukayama11男女の成長段階の違いを考慮し、“男女併学”という独自の制度を取り入れている同校。2013年度からは『女子英数コース』に、東大・京大・国公立大医学部への現役合格を目指す『スーパー選抜クラス』を新設し、男女ともに理系に強い進学校としての地位を固めつつあります。
2014年度には国公立大学医学部医学科合格者14名を含み、医歯薬保健獣医系への合格者は190名に。国公立大学合格者も、東大1名、京大15名、阪大20名を含む173名という実績を挙げました。
こうした実績を支えているのが、中学・高校で行われている医学・理系学部や研究職への理解を深める取り組みです。今回取材した、『化学実験』体験講座はもちろん、iPS細胞についての京大出張授業、大学の研究室見学、サイエンスカフェ開催など、同校では理系の進路を目指す生徒にうれしい、さまざまな機会を設けています。

取材・文/蔵 麻子  撮影/池本 昇

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